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論文

First observation of $$^{28}$$O

近藤 洋介*; Achouri, N. L.*; Al Falou, H.*; Atar, L.*; Aumann, T.*; 馬場 秀忠*; Boretzky, K.*; Caesar, C.*; Calvet, D.*; Chae, H.*; et al.

Nature, 620(7976), p.965 - 970, 2023/08

 被引用回数:5 パーセンタイル:92.64(Multidisciplinary Sciences)

非常に中性子が過剰な原子核$$^{28}$$Oは、陽子、中性子ともに魔法数であることから古くからその性質に興味が持たれていたが、酸素の最後の束縛核$$^{24}$$Oよりも中性子が4個も多いため、これまで観測されてこなかった。この論文では、理化学研究所RIBFにて$$^{29}$$Fからの1陽子ノックアウト反応によって$$^{28}$$Oを生成し、そこから放出される中性子を測定することによって初めてその観測に成功した。核構造の観点からは、$$^{28}$$Oでは二重閉殻が保たれているか興味が持たれていたが、実験で得られた分光学的因子が殻模型計算で予言されて程度の大きいことから、閉殻構造をもたない可能性が高いことがわかった。

論文

Large collectivity in $$^{29}$$Ne at the boundary of the island of inversion

Revel, A.*; Wu, J.*; 岩崎 弘典*; Ash, J.*; Bazin, D.*; Brown, B. A.*; Chen, J.*; Elder, R.*; Farris, P.*; Gade, A.*; et al.

Physics Letters B, 838, p.137704_1 - 137704_7, 2023/03

 被引用回数:1 パーセンタイル:68.16(Astronomy & Astrophysics)

中性子数20近傍の中性子過剰核は、魔法数20が消滅して原子核が大きく変形していることが知られており、その魔法数が消滅する領域は逆転の島と呼ばれている。$$^{29}$$Neは中性子数19で逆転の島の境界線上に位置するとされてきたが、その変形度は不明だった。ミシガン州立大学の国立サイクロトロン研究所にて$$^{29}$$Neのクーロン励起反応実験を行った結果、931keVの励起状態への$$B(E2)$$値が163$$e^2$$fm$$^4$$と大きな値となり、大きく変形していることが確かめられた。この実験結果をよく使われているいくつかの殻模型計算と比較したところ、大きな$$B(E2)$$値は概ね再現するものの、励起エネルギーの一致は不十分であり、理論の改善が必要であるとわかった。

論文

In-beam $$gamma$$-ray spectroscopy of $$^{32}$$Mg via direct reactions

北村 徳隆*; Wimmer, K.*; 宮城 宇志*; Poves, A.*; 清水 則孝*; Tostevin, J. A.*; Bader, V. M.*; Bancroft, C.*; Barofsky, D.*; Baugher, T.*; et al.

Physical Review C, 105(3), p.034318_1 - 034318_17, 2022/03

 被引用回数:2 パーセンタイル:52.69(Physics, Nuclear)

$$^{32}$$Mgは中性子魔法数20が消滅する中性子過剰核のモデルケースとして有名な原子核であるが、約1MeVという低い励起エネルギーにある$$0^+$$励起状態の性質が未だに謎に包まれているなど、その構造は未解明な点が多い。この原子核の励起構造を解明するため、米国国立超伝導サイクロトロン研究所にて$$^{33}$$Mgからの1中性子ノックアウト、$$^{34}$$Siからの2陽子ノックアウト反応で$$^{32}$$Mgの励起状態を生成し、そこからの脱励起ガンマ線の測定によってその準位構造を得た。得られた約20本のエネルギー準位を殻模型計算による理論と比較した。低い$$0^+$$励起状態の存在を再現する計算によって予言されていた強い生成強度をもった状態は存在せず、その$$0^+$$状態がない古い理論の方が全体的な傾向をよく再現した。その結果、$$0^+$$励起状態の謎は依然、解明されずに残ることとなった。

論文

Coexisting normal and intruder configurations in $$^{32}$$Mg

北村 徳隆*; Wimmer, K.*; Poves, A.*; 清水 則孝*; Tostevin, J. A.*; Bader, V. M.*; Bancroft, C.*; Barofsky, D.*; Baugher, T.*; Bazin, D.*; et al.

Physics Letters B, 822, p.136682_1 - 136682_7, 2021/11

AA2021-0459.pdf:1.01MB

 被引用回数:6 パーセンタイル:71.66(Astronomy & Astrophysics)

ミシガン州立大学の国立超伝導サイクロトロン研究所にて、中性子過剰核$$^{32}$$Mgの励起状態を$$^{33}$$Mgからの1中性子ノックアウト反応および$$^{34}$$Siからの2陽子ノックアウト反応によって生成し、そこからの脱励起ガンマ線をGRETINA検出器を用いて観測した。$$^{32}$$Mgは中性子魔法数20が消失していることが古くから知られている原子核であるが、10年ほど前に理論予想よりもはるかに低い励起エネルギーに$$0^+_2$$状態が出現することがわかり、その核構造は完全には解明されていない。この実験で得られた生成断面積を理論計算と比較したところ、$$0^+_2$$状態の位置を再現する最近の理論計算で予言される、励起エネルギー2MeV以下の大きな断面積は実験では得られず、$$0^+_2$$状態の位置を再現しない古い理論計算に近い断面積分布となることがわかった。この結果から、$$^{32}$$Mgの低い$$0^+_2$$状態の謎は未だに残されたままとなった。

論文

Structure of $$^{30}$$Mg explored via in-beam $$gamma$$-ray spectroscopy

北村 徳隆*; Wimmer, K.*; 清水 則孝*; Bader, V. M.*; Bancroft, C.*; Barofsky, D.*; Baugher, T.*; Bazin, D.*; Berryman, J. S.*; Bildstein, V.*; et al.

Physical Review C, 102(5), p.054318_1 - 054318_13, 2020/11

AA2020-0765.pdf:4.4MB

 被引用回数:4 パーセンタイル:45.12(Physics, Nuclear)

$$^{30}$$Mgは中性子数20の魔法数が消滅する原子核としてよく知られている$$^{32}$$Mgの2中性子少ない系であり、魔法数消滅のメカニズムを解明する重要な情報を与える原子核である。この研究では、ミシガン州立大学のサイクロトロンを用いて$$^{31}$$Mgからの中性子ノックアウト反応によって$$^{30}$$Mgを生成し、そのガンマ線分光から構造を探求した。変形の小さなバンドと変形の大きなバンドの他に負パリティ状態と見られるエネルギー準位が得られ、それらの分光学的因子が導かれた。その結果を大規模殻模型計算と比較したところ、エネルギー準位はよく再現するものの、分光学的因子の一部に不一致があり、より正確な記述という観点からは理論に課題があることがわかった。

論文

Quasifree neutron knockout from $$^{54}$$Ca corroborates arising $$N=34$$ neutron magic number

Chen, S.*; Lee, J.*; Doornenbal, P.*; Obertelli, A.*; Barbieri, C.*; 茶園 亮樹*; Navr$'a$til, P.*; 緒方 一介*; 大塚 孝治*; Raimondi, F.*; et al.

Physical Review Letters, 123(14), p.142501_1 - 142501_7, 2019/10

AA2019-0306.pdf:0.57MB

 被引用回数:47 パーセンタイル:92.65(Physics, Multidisciplinary)

$$^{54}$$Caでは中性子魔法数34が現れると考えられているが、その直接的な実験的証拠を得るため、$$^{54}$$Caからの中性子ノックアウト反応$$^{54}$$Ca($$p,pn$$)$$^{53}$$Caによって生成される状態を理化学研究所のRI Beam Factoryによって調べた。基底状態および2.2MeVの励起状態が強く生成され、1.7MeVの励起状態の生成量は小さかった。$$^{53}$$Caの運動量分布から、基底状態および2.2MeVの励起状態は$$p$$軌道の中性子を叩き出して得られた状態であることが明らかになった。DWIA計算によって得られた分光学的因子から、$$^{54}$$Caは$$p$$軌道がほぼ完全に占有された閉殻構造を持つことが明らかになり、中性子魔法数34の出現が確実なものとなった。

論文

Nuclear moments of the low-lying isomeric $$1^+$$ state of $$^{34}$$Al; Investigation on the neutron $$1p1h$$ excitation across $$N=20$$ in the island of inversion

Xu, Z. Y.*; Heylen, H.*; 旭 耕一郎*; Boulay, F.*; Daugas, J. M.*; de Groote, R. P.*; Gins, W.*; Kamalou, O.*; Koszor$'u$s, $'A$.*; Lykiardopoupou, M.*; et al.

Physics Letters B, 782, p.619 - 626, 2018/07

AA2018-0159.pdf:0.5MB

 被引用回数:7 パーセンタイル:53.6(Astronomy & Astrophysics)

GANIL研究所において、$$^{36}$$Sからのフラグメンテーション反応によって中性子過剰核$$^{34}$$Alにおける核異性体である$$1^+$$状態を生成し、その磁気双極子モーメントと電気的四重極モーメント(Qモーメント)をそれぞれ$$beta$$-NMR法および$$beta$$-NQR法を用いて測定した。この状態は中性子数20の殻ギャップを越えて励起したものであり、その性質を実験的に押さえることは、この原子核の周辺で知られている逆転の島(基底状態で既に殻ギャップを越えた励起が起こるとされる原子核の一団)の発現のメカニズムを解明するための有益な情報を与える。測定されたg因子の絶対値は$$1.757pm 0.014$$、Qモーメントの絶対値は38(5)mbとなった。これらの値は、大規模殻模型計算による予言値に近く、模型の高い記述能力を確かめることができた。

論文

Structure of $$^{55}$$Sc and development of the $$N=34$$ subshell closure

Steppenbeck, D.*; 武内 聡*; 青井 考*; Doornenbal, P.*; 松下 昌史*; Wang, H.*; 馬場 秀忠*; 郷 慎太郎*; Holt, J. D.*; Lee, J.*; et al.

Physical Review C, 96(6), p.064310_1 - 064310_10, 2017/12

 被引用回数:18 パーセンタイル:80.82(Physics, Nuclear)

理化学研究所のRIBFにて、中性子過剰核$$^{55}$$Scの励起状態を$$^{56}$$Tiからの1陽子ノックアウト反応および$$^{55}$$Scの非弾性散乱によって生成し、そこからの脱励起$$gamma$$線を観測することによってエネルギー準位を得た。その結果、第一励起状態が695keVと低く現れることがわかった。$$^{54}$$Caで知られているように中性子数34の閉殻構造が成り立っているとすると、第一励起状態は約2MeVと高く現れるはずであり、この結果は$$^{55}$$Scでは中性子数34の新魔法数が消滅していることを示している。殻模型計算でもこの結果は得られ、中性子数34の殻ギャップが陽子数に応じて強く変化していることがその原因であることがわかった。

論文

Low-$$Z$$ shore of the "island of inversion" and the reduced neutron magicity toward $$^{28}$$O

Doornenbal, P.*; Scheit, H.*; 武内 聡*; 宇都野 穣; 青井 考*; Li, K.*; 松下 昌史*; Steppenbeck, D.*; Wang, H.*; 馬場 秀忠*; et al.

Physical Review C, 95(4), p.041301_1 - 041301_5, 2017/04

AA2017-0008.pdf:0.46MB

 被引用回数:33 パーセンタイル:91.97(Physics, Nuclear)

中性子数20の魔法数は$$^{32}$$Mg近傍の中性子過剰核領域で消失することが知られており、その一群の原子核は核図表における「反転の島」と呼ばれている。陽子数が10よりも小さな原子核が反転の島に含まれるかどうかを示す実験的証拠はこれまでなかった。この研究では、理化学研究所RIビームファクトリー(理研RIBF)にて生成された中性子過剰核$$^{29}$$Fのインビーム$$gamma$$線分光から、$$^{29}$$Fの第一励起状態を初めて観測することに成功した。その励起エネルギーは1080(80)keVであり、中性子数20魔法数を仮定した計算による励起エネルギーの値である約3MeVよりも著しく小さいことから、この魔法数が消滅していることが明らかとなった。大規模殻模型計算によって励起エネルギーの実験値を再現することに成功するとともに、$$^{29}$$Fの基底状態および第一励起状態は中性子が2個殻ギャップから励起した状態によって支配されることがわかった。この第一励起状態は$$^{28}$$Oの第一励起状態に$$d_{5/2}$$軌道を占める陽子を結合させた状態が主であり、そのエネルギーが低いことから、$$^{28}$$Oは二重閉殻構造をもたないと考えられる。

論文

Intruder configurations in the ground state of $$^{30}$$Ne

Liu, H. N.*; Lee, J.*; Doornenbal, P.*; Scheit, H.*; 武内 聡*; 青井 考*; Li, K. A.*; 松下 昌史*; Steppenbeck, D.*; Wang, H.*; et al.

Physics Letters B, 767, p.58 - 62, 2017/04

AA2016-0554.pdf:0.67MB

 被引用回数:20 パーセンタイル:83.48(Astronomy & Astrophysics)

理化学研究所のRIBFにて、中性子過剰核$$^{30}$$Neビームを生成し、それを用いた$$^{12}$$C($$^{30}$$Ne, $$^{29}$$Ne+$$gamma$$)$$X$$陽子ノックアウト反応にて$$^{29}$$Neの励起状態を調べた。また、運動量分布も調べることにより、生成された状態のスピン・パリティを推定した。得られた励起準位の構造は、中性子数20が魔法数であると仮定したものとは大きく異なり、この原子核で侵入者配位(殻ギャップを超えて励起した状態)が基底状態および低励起状態が支配的となっていることがわかった。$$sd$$殻と$$pf$$殻の下半分の軌道を取り入れた大規模殻模型計算はこうした準位構造の性質自体は再現するものの、より定量的な一致を得るには$$pf$$殻を完全に取り入れた計算が必要であることがわかった。

論文

High-precision quadrupole moment reveals significant intruder component in $$^{33}_{13}$$Al$$_{20}$$ ground state

Heylen, H.*; De Rydt, M.*; Neyens, G.*; Bissell, M. L.*; Caceres, L.*; Chevrier, R.*; Daugas, J. M.*; 市川 雄一*; 石橋 陽子*; Kamalou, O.*; et al.

Physical Review C, 94(3), p.034312_1 - 034312_5, 2016/09

AA2016-0115.pdf:0.4MB

 被引用回数:37 パーセンタイル:91.78(Physics, Nuclear)

フランスGANIL研究所にて、中性子過剰核$$^{33}$$Alの電気的四重極モーメントの高精度測定を$$beta$$-NQR法を用いて行った。この領域の不安定核では、$$^{32}$$Mgでは中性子数20魔法数が消滅しており、$$^{34}$$Siでは中性子数20魔法数が保たれていることが知られている。その中間にある$$^{33}$$Alで魔法数が消滅しているか否かは大きな興味を持たれているが、これまでの実験では魔法数消滅の程度に対する決定的なデータは存在しなかった。この実験では、魔法数の消滅の程度に敏感と考えられている電気的四重極モーメントを高精度で測定し、$$|Q|=141(3)$$mbが得られた。この値を殻模型計算と比較したところ、$$^{33}$$Alでは魔法数が50%以上消滅していることが明らかになった。

論文

インビーム$$gamma$$線核分光による新魔法数の発見

武内 聡*; Steppenbeck, D.*; 宇都野 穣

日本物理学会誌, 70(7), p.535 - 539, 2015/07

2013年にNature誌で出版された$$^{54}$$Caにおける新魔法数の発見の研究内容について解説する。1990年代頃から、不安定核ビームを用いた核物理実験が大きく進展し、従来の核物理の常識を超えた結果が多く得られてきた。2000年頃には、新魔法数16が酸素同位体周辺にて出現することがわかり、理論研究に大きな影響を与えた。2001年に発表者を含むグループによって新魔法数16が出現するメカニズムが提唱され、そのメカニズムによってカルシウム周辺で新魔法数34が出現することが予言された。この予言は実験研究を大きく刺激したが、非常に中性子過剰な$$^{54}$$Ca核を十分に生成することが困難だったため、その正否に対する回答が与えられてこなかった。非常に最近になって、理化学研究所のRIBFによって$$^{54}$$Ca核を十分に生成することが可能となり、そのインビーム$$gamma$$線分光実験が行われた。その結果、第一励起状態が約2MeVにあることがわかり、十年来の予言が確かめられた。この発見は、エキゾチック核における殻構造変化に対して大きな影響を与えるものである。

論文

Low-lying structure of $$^{50}$$Ar and the $$N$$=32 subshell closure

Steppenbeck, D.*; 武内 聡*; 青井 考*; Doornenbal, P.*; 松下 昌史*; Wang, H.*; 宇都野 穣; 馬場 秀忠*; 郷 慎太郎*; Lee, J.*; et al.

Physical Review Letters, 114(25), p.252501_1 - 252501_6, 2015/06

 被引用回数:44 パーセンタイル:87.83(Physics, Multidisciplinary)

理化学研究所の不安定核施設RIBFにて、中性子過剰核$$^{50}$$Arを$$^{54}$$Ca, $$^{55}$$Sc, $$^{56}$$Tiからの核破砕反応によって生成し、その脱励起$$gamma$$線を初めて観測した。最も強度の強い$$gamma$$線エネルギーから、$$^{50}$$Arの第一励起$$2^+$$状態の励起エネルギーが1178(18)keVであることがわかった。この実験結果および周辺核の$$2^+$$状態の励起エネルギーを大規模殻模型計算と比較した結果、$$^{50}$$Arでは中性子数32のサブシェルギャップが$$^{52}$$Caと同じくらい大きくなることによってその第一励起エネルギーが$$^{48}$$Arよりも高くなることがわかった。また、殻模型計算によって、中性子数34のサブシェルギャップがCaからArにかけて増大することを予言し、その影響は今後行われるであろう$$^{52}$$Arの励起状態の測定で確かめ得ることを示した。

論文

Search for neutron excitations across the $$N=20$$ shell gap in $$^{25-29}$$Ne

Belleguic, M.*; Azaiez, F.*; Dombr$'a$di, Zs.*; Sohler, D.*; Lopez-Jimenez, M. J.*; 大塚 孝治*; Saint-Laurent, M. G.*; Sorlin, O.*; Stanoiu, C.*; 宇都野 穣; et al.

Physical Review C, 72(5), p.054316_1 - 054316_7, 2005/11

 被引用回数:41 パーセンタイル:89.53(Physics, Nuclear)

原子核の殻構造が不安定核で変化する可能性が指摘されているが、その是非を明らかにするにはいわゆる侵入者状態の励起エネルギーを系統的に調べることが必要である。この論文では、GANIL研究所で不安定核$$^{26-28}$$Neの新たな準位を見つけ、その結果を原研らのグループによってなされたモンテカルロ殻模型計算の結果と比較したものである。これらの不安定核を$$^{36}$$S$$^{16+}$$ビームの入射核破砕反応によって生成し、脱励起$$gamma$$線を観測することにより、新しい準位を見つけた。$$^{26,27}$$Neにおいては、観測された準位は$$sd$$殻を仮定した殻模型計算の結果とよく一致し、低励起状態において侵入者状態は見つからなかった。一方、この実験で新たに見つかった$$^{28}$$Neにおける2.24MeVの状態は、旧来の$$sd$$殻模型で対応するものが存在しないため、侵入者状態が支配的と考えられる。実際、モンテカルロ殻模型計算によって2.2MeV付近にこのような$$0^+$$状態があると予言される。この実験で得られたN=18核における非常に低い$$0^+$$状態の存在は、不安定核においてN=20の殻ギャップが非常に狭まっていなくては説明できず、不安定核で魔法数が消滅するメカニズムの解明に大きな知見を与えるものである。

論文

Anomalous magnetic moment of $$^9$$C and shell quenching in exotic nuclei

宇都野 穣

European Physical Journal A, 25(S1), p.209 - 212, 2005/09

 被引用回数:2 パーセンタイル:23.55(Physics, Nuclear)

近年、不安定核構造の研究の進展とともに殻構造において不安定核と安定核とでは大きな相違があることがわかりつつあり、魔法数の認識の変更が迫られている。このことは実験で得られた基底状態の核構造と殻模型に代表される微視的な理論研究との比較によって明らかになったものである。発表者らはこれまでN=20領域の不安定核の殻構造についておもに研究してきたが、本講演では、N=8魔法数が同様に消滅するかどうか、さらにそれが核構造にどのような影響を与えうるかを殻模型により研究した成果を発表する。1995年に初めて測定された陽子過剰核$$^9$$Cの基底状態における磁気モーメントは基底状態における非常に大きなスピン期待値を与えるため、その明確な理論的解釈はこれまで与えられてこなかった。われわれはN(Z)=8の魔法数が消滅することに着目し、まず不安定核における殻の縮まりの程度を現象論的に取り入れた。さらに、$$^9$$Cは弱束縛系であるためトーマス・エルマン効果によってさらに殻ギャップが狭まりうるが、それを取り入れると$$^9$$CではZ=8の魔法数を破った配位が増大し、実験値の磁気モーメントを再現することを示した。この計算結果は不安定核の殻の縮まりの程度が従来考えられていたよりも大きく、それが核構造に大きな影響を与えうることを示したものである。

論文

$$^{29}$$Na; Defining the edge of the island of inversion for Z=11

Tripathi, V.*; Tabor, S. L.*; Mantica, P. F.*; Hoffman, C. R.*; Wiedeking, M.*; Davies, A. D.*; Liddick, S. N.*; Mueller, W. F.*; 大塚 孝治*; Stolz, A.*; et al.

Physical Review Letters, 94(16), p.162501_1 - 162501_4, 2005/04

 被引用回数:68 パーセンタイル:88.36(Physics, Multidisciplinary)

中性子数20の魔法数が中性子過剰核で消滅することは知られているが、このことが起きる要因の一つとして、中性子過剰核においては殻ギャップエネルギーそのものが安定核のものよりもかなり狭まるということを、われわれはモンテカルロ殻模型計算に基づいて提唱してきた。これが実際に正しいとすると、中性子数が20よりも少ない原子核の励起エネルギーにその痕跡が見られることが予言されるが、この論文でなされた、$$^{29}$$Ne核によるベータ崩壊から得られた$$^{29}$$Naの準位の測定で、予言されたものに対応する準位が初めて測定された。中性子18を持つ$$^{29}$$Naではこれまで励起状態が全く知られていなかったが、この実験によって1.5MeV近傍に2本、log(ft)値から明らかに正パリティでかつ、中性子数20の魔法構造を破った状態があることがわかった。同時に$$^{28}$$Naの励起状態も測定し、この核の低励起状態にはそのような状態がないこともわかった。これらの実験結果はモンテカルロ殻模型による予言によく対応しており、魔法数の変化のメカニズムに対してさらに深い理解を与えたものである。

論文

Nuclidic mass formula on a spherical basis with an improved even-odd term

小浦 寛之; 橘 孝博*; 宇野 正宏*; 山田 勝美*

Progress of Theoretical Physics, 113(2), p.305 - 325, 2005/02

 被引用回数:397 パーセンタイル:99.16(Physics, Multidisciplinary)

われわれが2000年に発表した大局的項,平均的偶奇項,殻項を持つ質量公式の改良版を作成した。大局的部分は前回のものとほぼ同様であるが、偶奇項をより精密に取り扱い、相当の改善を行うことができた。殻項については前回のものと全く同様で、球形単一粒子ポテンシャルを用いて計算を行い、変形核については球形核の重ね合わせの考え方で取り扱うという方法を用いた。今回の質量公式は${it Z}$$$>$$1及び${it N}$$$>$$1の核種に適用可能である。実験質量値との平均2乗誤差は0.658MeVとなり、前回の質量公式での誤差0.680MeVと比べて改善された。

論文

Measurement of the spin and magnetic moment of $$^{31}$$Mg; Evidence for a strongly deformed intruder ground state

Neyens, G.*; Kowalska, M.*; Yordanov, D.*; Blaum, K.*; Himpe, P.*; Lievens, P.*; Mallion, S.*; Neugart, R.*; Vermeulen, N.*; 宇都野 穣; et al.

Physical Review Letters, 94(2), p.022501_1 - 022501_4, 2005/01

 被引用回数:157 パーセンタイル:95.96(Physics, Multidisciplinary)

N=20の魔法数(すなわち魔法構造)が不安定核で消滅することは知られているが、魔法構造が消滅する核がどの範囲にわたって存在するかについてはまだ実験的に確定していない。この論文では、魔法数がN=19核でも消滅するかどうかを見いだすことを目的とし、ルーベン大学のNeyens教授のグループによって$$^{31}$$Mgの基底状態のスピン及び磁気モーメントの測定を行い、その実験値の理論的解釈を原研らのグループでなされたモンテカルロ殻模型計算によって与えた。ISOLDE-CERNで不安定核$$^{31}$$Mgビームを生成,分離し、まず原子の超微細構造を測定することによってこの核の核スピンが1/2であることを決定した。さらにベータNMR法によって核のg因子を測定し、スピンの結果と合わせ、この核の磁気モーメントを-0.88355(10)$$mu_N$$と決定した。魔法数が消滅していないと仮定すると$$^{31}$$Mgの核スピンは3/2となるべきであることから、測定されたスピンは魔法数の消滅を強く示唆している。実際、モンテカルロ殻模型計算で詳しく解析すると、この核で魔法数が消滅しているという結果が得られ、この実験による磁気モーメントは計算のものとよく一致している。その比較から、$$^{31}$$Mgでは魔法数が消滅していることが明らかになり、魔法数消滅のメカニズムに関して大きな影響を与えた。

論文

Onset of intruder ground state in exotic Na isotopes and evolution of the $$N=20$$ shell gap

宇都野 穣; 大塚 孝治*; Glasmacher, T.*; 水崎 高浩*; 本間 道雄*

Physical Review C, 70(4), p.044307_1 - 044307_8, 2004/10

A2004-0200.pdf:0.17MB

 被引用回数:142 パーセンタイル:98.09(Physics, Nuclear)

中性子過剰ナトリウム同位体の電磁モーメントとエネルギー準位を、$$sd$$殻と$$pf$$殻の一部を模型空間にとったモンテカルロ殻模型によって系統的に計算した。計算の結果、これらの測定量をよく再現するとともに、ナトリウム同位体では、中性子20の魔法数の消滅が中性子数18から始まり、中性子数19では完全に魔法数が消滅することを示した。従来は、束縛エネルギーの議論から中性子数20にて初めて魔法数が消滅するとされていたが、電磁モーメントなどからその解釈は否定されることを示した。この結果は、中性子数20の殻ギャップがナトリウム同位体近傍では安定核近傍に比べて著しく狭まっていることを示している。

論文

Anomalous magnetic moment of $$^9$$C and shell quenching in exotic nuclei

宇都野 穣

Physical Review C, 70(1), p.011303_1 - 011303_5, 2004/07

A2003-0610.pdf:0.12MB

 被引用回数:18 パーセンタイル:70.39(Physics, Nuclear)

$$^9$$Cの磁気モーメントは、鏡像核の$$^9$$Liの磁気モーメントと、安定核ではよく成り立っているアイソスピン対称性を考慮に入れると、核力の一般的性質からは全く理解できないほどの大きなスピン期待値を与えることが知られているが、その異常性のメカニズムはこれまで不明であった。この論文は、著者らが提唱してきた、不安定核における殻構造の変化の一般的性質によりこの異常磁気モーメントのメカニズムを説明できることを示したものである。具体的には、Z=4,5,6同位体におけるN=8のシェルギャップを実験値と殻模型による計算値とを比較することにより、Z=3ではN=8のシェルギャップが非常に狭いことが示される。このことから、$$^9$$Liではp殻で支配された通常状態と、$$sd$$殻に2中性子励起した侵入者状態が接近することが予言される。$$^9$$Cではトーマス-エルマン効果が付け加えられることより、さらにシェルギャップが縮まり、この2つの状態の混合が大きくなる。その結果、$$^9$$Liと$$^9$$Cでは基底状態の波動関数が大きく異なり、実験で測定された異常な磁気モーメントが理解される。この成果は、単にエキゾチックな現象を説明したのみならず、不安定核における殻構造のダイナミックな変化が普遍的であることをも示し、不安定核研究一般に大きな影響を与えうるものである。

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